一緒に行こう

2002年4月27日
よせてはかえす波
それを足に感じながら、私は歩む
波の高さはちょうど足首より上くらいだろうか
サンダルを脱いだ素足にじゃれつくような波が心地よい
ふと視線を上げるとそこにはオレンジ
まるで夕日に照れたかのように濃厚なオレンジに身を染める空。もちろん海も真っ赤だ
ガラにも無くそんな表現を思い浮ばせた自分に、少し恥ずかしくなりまた足元を見やる
一歩、また一歩とまるで砂の感触を楽しむようにゆっくりと歩みを進める
時々目を閉じ、潮風を楽しみ、波の感触を楽しみ、そして波の音を楽しみ、そしてまた歩み続ける
ふと前に視線を向けると、私の100メートルほど前方には手を申し訳程度につなぎ、それでも仲睦まじくゆっくりと進むカップルが一組。その前方にはまたカップルが一組。そちらの友達は彼氏の少し前を後ろを向き、器用に歩きながらにこやかに笑いながら会話をしている。
幸せな・・・いつもならば少しは羨ましくもなるのだろうが、何よりもこちらまで幸せな満ち足りたそんな気分にさせられるそんな光景
同時に少し気恥ずかしいものがあり、みたび目を伏せ手をぶらぶらと遊ばせる
ふと右手が軽く引かれる
少し驚き、それ以上になぜか深い安心感を感じつつ、私の手を握った主を見やる
少年は恥ずかしそうに顔を伏せながら、尚も私の手を引く
嫌悪感は・・・無い
今までは弟しか見ていなかった存在だ
だが今は妙に力強く感じる
それは言葉ではあらわせない感覚
少し男らしく見えた

そうだね・・・今は一緒に歩こう
・・・でも

私は手をふりほどく
あっと小さな声を立て、気まずそうに少年が立ち止まる

でも・・・一方的な存在じゃなく

私は少年の手を握る

そう、同じスタンスで、お互いを支え合える相手になろう
一方的に相手に頼るそんな惰弱な関係は必要ない

私は少年の目を見下ろす

そう、今は一緒に歩こう
・・・この手を離さぬように

「一緒に歩こうか」

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