のえの
2002年8月13日学校
階段の上から白い水の入った風船を投げつけるゲーム?っぽい
階段の一番奥の左側にはジュースを配っているので、其れが目的で近づく
取るまでは注意を払っていたので避けれてはいたが、取ろうとした瞬間配っている人に声をかけられ油断して直撃
『・・・んのやらぁっ!』
持ってたコップの中身を階段の上にぶちまける
『うわぁっ!』
相手も被りそこからぶつけ合いが始まる
こっちのねたと相手のねたが同時になくなりわらいがこみあげてきたところで終了
『ねぇ!ちょっと後で付き合ってよっ!』
別れる時、上から声をかけられる
『どこがいい?』
即答で返し、学校の前にあるビルの前で決める
更衣室で服を着替えようとし上着の換えがないことに気付く
今きている服を適当にあらい、夏なので上裸で出る
『ちょっとー。女の子に逢うんだから上くらい着てきてよー』
少し赤く・・・なんてのは微塵もなく笑いながら言う彼女
『お前のせーだろが。それじゃちょっと上のユニクロつきあってくれよ』
と言いつつぬれた服を着る
『しっかたないなぁ』
笑いながら『とほほ』というポーズをとり彼女は言う
エレベーター
なぜか二階に止まらず三階に
二人して『ナゼっ!?』などと叫ぶ
その後彼女が何を思ったのか更に上に
6階
階段発見
最初は普通に降りていたのだが、少しずつ小走りになって最終的には競争に
こけそうになりながら全力疾走
インコースにいる俺の方を彼女の腕が強打し回りながらこけそうになりつつ建て直し一言
『俺を殺すきかっ!』
『階段から落ちたくらいでは死なないでしょ?』
にやりと笑いつつ言う
ちなみに激しくデッドヒートしつつ
その後更に肩が当たり今度は彼女が体制を悪くする
『あっ!・・・う、受け取ってー!』
くるくる器用にまわりながら叫ぶ
マジで心配したので、下で受け取ろうとする
なんと顔から落ちてくる彼女
『ドスン』という音と共に俺の胸に体当たり
その後直に離れたかと思いきや
自分勝手にレース開催
そして俺がはたと気付いたがとき彼女が先にゴールイン
『よっしゃー!あたしの勝ちだっ!』
満面の笑みで叫ぶ
『いや待て、そこは一階だ』
にやりと笑い二階に駆け上る
『・・・あぁっ!?ひ、卑怯ものー!』
ってな感じでユニクロに到着
先についた俺は服に口紅がついてることに気付く
ちょっと赤くなりながらすてれねーじゃんこの服。とか思う
その後彼女が親類に追われてるらしくユニクロに見知った顔が大量にいることに気付く
出るに出れない状況の中かつらをかぶせ帽子をかぶせ逃げ回る
そしたらエスカレーター発見
『ここなら逃げれるかも・・・』
乗った直後両脇の手すりに器用に乗ってサーフィンの格好をしてる漢どもを見る
『・・・男の巣窟はいやだ』
『はてしなくね』
と言いつつ上に着く、そこはなんとプール
彼女はいつのまにやら水着に
『泳ぐんスカっ!?』
『泳いでる間に消えるって』
『・・・俺やめとく、水着ないしな』
といって目立つから奥の休憩所休んでると
後ろのエレベーターから親父さんが現れる
俺に気付く
鬼の形相
速攻で逃げる
するとプールサイドに見知った女が
プールで泳いでるやつを足場に飛んで踏んで飛んで避ける
彼女を探す
するとプールの縁に掴まってボーっとしてるのを見つける
顔は向こうを向いている
『おいっ!お前!逃げんぞっ!』
近寄って声をかける
動かない
『おいっ!何してんだよ追いつかれるっつーに!』
何か変だと思いつつ彼女に触れる
つめたい、水の冷たさじゃなく触れた内奥まで冷たい感触
なにが起きたかわからず彼女を一旦水から引き出す
頬をたたきつつ
『・・・なにしてんだよ、起きろって』
自分の顔が蒼白になっている気がする
彼女の唇は紫になっている
皮膚も張りがなくなっている
身動きもしない息もしない心音もない
目の前が真っ暗になっていく
追いついた女が一言
『お嬢様死んだの?』
何でそんな風に一瞬で結論付けれるのだろう
『君は知らなかったの?お嬢様はもう余命がなかったのよ』
唐突に知らされる一言
『か・・・彼女の名前は?』
それだけを必死で紡ぎだす
そう、階段で始めて逢ったんだ
『のえのお嬢様』
涙で視界がぼやけていく
その名前は確かに始めて聞くものだった。しかし俺はその名前がどうしても口に出せない。そう、いとおしすぎたのだ
しかし
『俺・・・こ、こんな事・・言われても困ると、思うんだけど』
嗚咽が混じり自分でも何をいっているか理解できない声だ
でも彼女は黙って聞いてくれた
『のえのが死んだなんて信じれない。まだ心の中にいるんだ。確かにここにいるんだ。まだ楽しそうに笑ってるんだ。俺は信じれない』
いや、信じれないんじゃない
信じたくないんだ
俺は彼女に一目逢った時から惚れてしまっていたのだろう
冷たくなった彼女の体を抱きしめ、俺は伝えたかった事をポツリポツリと、のえのにだけ聴こえるように紡ぎだす
俺は一生忘れる事はないだろう
彼女の存在を
コメント