結婚

2010年3月23日 日常
これは私と彼の物語である
小説のような起伏は一度だけであり、読まれている方にはさほど楽しみのないものであろう
手記といってもよいものであり、皆様のお目汚しにしかならないとは思うが一種のけじめとして記しておく
彼との出会いは記憶にない。それほど子供の頃からの付き合いだった
物心がついた頃には既に一緒に居た
彼は一つ私より年上で、だからだろうか。私に対していつも優しかった
子供など単純なものだ。優しくされれば懐くのである。例に漏れず私もそうであった
幼稚園の卒業式。つまり彼の卒業式は凄まじいほどのごね方をしたらしい。もちろん私がだが
記憶にはない。もちろん私にとって幸福である
ただ難点は私の周りに居る人間が全員記憶にとどめていたことだろうか。もちろん彼もだ
年を経た彼は優しいままだがたまに意地悪だ。こちらが覚えていないことをネタにされるのは不快ではあるが、遺恨にさせないのは彼の人柄だろうか
話がいきなり現代に飛んでしまったので元に戻す
私が小学校に入った時、彼は私の手を引いて校内を案内してくれた
これがきっかけとなったのかこの行事は以降二回続くこととなる
ところで男性なら思い当たるのではないだろうか
女の子と一緒に居るの恥ずかしく感じる時期がある事が
彼も例に漏れず、というのが普通なのだろうか彼はまったくそのそぶりを見せなかった
成熟というものとは違う。単純に彼は私の事を女と思っていなかったのだろう
と思って問いただしてみたら予想だにせぬ答えが返ってきたが、それは後で語ることにしよう
そのため私と彼は小学校、中学校とまったく変わらぬ付き合いを行うこととなった
幼少の頃からほぼ大半の時間をともにしたことが原因だろうか。私と彼の趣味はほぼ完璧といっていいほど合致していた
そのため同じ部活に入る事となり、帰宅後はお互いの家に行き来し、朝は一緒に登校する
夫婦と揶揄されることもあったが、正直そのとうりだなぁと思っていたため特に反応することもなく、面白くないからだろうか。からかいも持続されなかったのを記憶している
ただ、私は彼の事を恋愛対象としてみていなかったように感じる
ずっと一緒に居るのが普通であり、これからも一緒にいるものだろう、と言う。今考えると一つの結末以外ない考えではあるがそう思っていた
当然その結末のことはまったくイメージを持っていなかったのだが
そのイメージを持ったのは彼の高校進学時であろうか
彼が男子校に入るといったのである。何事かと思った
私は基本的に感情の上下が非常に乏しい人間だと自負している。俗に言うクールという奴だ。後にビューティーがつかないのが口惜しい
おそらくその私が今までの人生で一番動揺したと思われる
怒ったらいいのか哀しめばいいのか自分の感情がまったく把握しきれず、狼狽といった言葉が一番ふさわしい状況で彼は一言こういった
冗談だから泣くな、と
とりあえず思い切り殴った
ところでネットで知り合った人は私がクールだということに酷く首を傾げるのではないかと思われる。虚構と現実は違うのだ、と告げておこう
その後、色々あったが結局近くの公立校に入った彼を追うように私も同じ学校に入った
入学したら彼が彼女を作っていた。などという事はなく二度目の校内案内を受け高校生活がスタートした
高校時代というものはおそらく一番起伏に富む時期かと思う
申し訳ないが私はまったく起伏がなかった。例に漏れず彼との生活が始まり、中学時代の延長だったのである
進学事件のときに彼との形のあり方に少し考えを持ったが、正直そのときは現状が最高の状況でありこれ以上は望むべくではない、壊れる可能性も無きにしも非ず、という
まぁ臆病者というか日和見主義というか欲が無いというか。悪い意味で子供だったのだろう
正直彼には感服している。よくもまぁ高校時代という多感な時期を私に手を出さず過ごせたものである
四六時中ずっと一緒に居たせいで彼女が居なかったことは確定しているし、本当に生殺しといった感じではなかっただろうか
あまりに無防備すぎて性欲が出なかった。というのが正解であるらしい。とりあえず頭をはたいておいた
もうちょっと言葉をオブラートに包むという事を、彼には以後の生活で叩き込むべきだろう
そして大学である
例に漏れず同じ大学に一年遅れで入学し、通例となった校内案内を受ける
当然のように彼に彼女は居なく、私たちはいつもの生活を続けることになる
少し説明不足だったので補足しておこう。彼が卒業し、私が残った場合も部活以外は殆ど同じ生活を行っていた
更にもう一つ補足しておこう。お互いの家に行き来し、していた事はお互いの持っている本を読む事とゲームをする事である
彼曰くゲームをする女性は珍しい。といっていたが私の知り合いにも少なからず存在するのでレアケースではあるが少なくない事を記しておこう
大学に入った後もあまり起伏のない、幸せな時期が少し続く
ここでやっと最初に言った一度だけの起伏が到来である
彼が留学すると言った
また進学事件の再来かと思ったらそんなことはなく今回は真面目であった
時は人を強くするのだろうか
私もそこまで狼狽することはなく、笑って見送った
狼狽するのはその後だった
今までの生活の半分以上を彼とともにしていたのである
その彼が居なくなった事は言葉通り、半身を失ったようなものであった
同じ学校に居ないときも寂しいと感じたが、そんなものは寂しいというものではなかったことをその時知った
いつ何時、何処に言っても彼がいないというものは私に耐え切れないものがあった
ここで携帯小説なら悪い男に捕まって薬漬けにでもされるのだろうが、期待した人はごめんなさい
耐え切れないものを補うように私と彼はよく電話をしあった。結果
電話代が異常な事になった
そうなるとバイトをせねばならぬ。電話をする時間が減ることにはなるが背に腹は変えられぬというものである
電話を減らしその分手紙を書いた。知っているか。実はエアメールは凄く安い
彼との関係が進んだのはこの頃である
遠距離恋愛って大変だねぇ、と私が電話口でこぼしたのである
私としては遠距離恋愛してる人らって大変だね、という意味で言ったのだが大事な所が抜けたせいで彼が勘違いしたのだが
ちょっと恥ずかしいのでこの部分は割愛させていただく
簡略に言うとじゃあ付き合いましょうかという事で決着がついた訳である
残念ながら起伏はこれで終了である
正直今までケンカらしい事を一度もした事がない。物の感じ方や趣味などが酷く似てる為衝突する部分が殆どないのだ
ちなみにこの電話後、彼は次の週末飛行機で帰ってきて、目の前でじかに好きだといってくれた
数時間しか滞在できないとの事であえなかった分たっぷり話し、最後に抱きしめて帰っていった
こいつ馬鹿だと思うとともに、こいつに惚れた私も馬鹿かと思ったものである
嬉しくて泣いたけども
ちなみにその後の経緯は省かしていただく
人には隠すべきこともある、というよりこの後の進展など書かなくともわかるであろう
彼の誕生日が2月22日だったことだけは記しておこう
その後、留学から帰った彼は外資系の会社に。さすがに追いかけれるようなものではなく、私は司書の仕事を見つけることが出来そちらに進んだ
社会に出たが生活は変わらなかった。行く場所が彼の実家から彼の一人住まいの家に変わっただけである
お互いに本とゲーム、美味しい食事さえあれば満足だった為、そこからの展開は数年無かった
あるとき私の蔵書が家の床を抜くんではないかという話になった
正直蔵書が万の域に達しそうになっていた為、両親の心配もあながち間違えてはいなかったと思う
すてる、売るという行為が出来なかった為彼に相談をしたところ、半分俺の家にもってこい。とあっさり言ってくれた
ただし俺が読んでない本だけ、と言ったあたり打算も多分に含まれていたがそれでも御の字であった
なぜいきなり本の話をしているかというとこの話にはきちんとした結末がついている
本の移動をしているとき彼がこういったのだ
引っ越すからお前のとこの本全部持ってこい、と
一瞬理解できなかった、理解した後も彼特有の言い回しか何かかと思った
真っ赤になってる彼の顔を見ればそういうものではないことが理解できた
小さい頃からずっと一緒にいた、これからも一緒にいるべきだと思う。など本当に情緒というものがまったく無いプロポーズであった
うん。としか言えなかった私にもそういう物は備わっていなかったようだが
その後今に至るまでに一番苦労したのは新居選びであった
二人合わせて二万近い蔵書である
被っている本を省いても一万五千はあるだろう
不動産屋も困ったことだろう。だって床の耐久度を細かく聞いてくる客はそうそう居ないだろうから
今後の予定も全て決まり、これからも起伏の少ない人生を歩むのだとは思う
だが私は幸せだ。ハプニングなどないほうがいい。静かな人生を最愛の人と一緒に歩めるのだから
やはりこういう手記はこの台詞で締めるべきなのだろう。提携文ではあるがあえてこの言葉で締めさせていただこう

私、結婚します
最後に一つ。中学時代の予想だにせぬ答えというのは突き放したら泣くのわかってたから。という実に大人めいた答えであった。腹が立ったから今日は彼の嫌いな納豆を食卓に出そうかと思う










って言う手記を書くような嫁さんが欲しいです

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